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SLACS 2010 - プログラム

スケジュール

11月1日(月)

13:50-14:00 オープニング+連絡など

14:00-15:00

  蓮尾 一郎 (京都大学・JSTさきがけ) 「Theory of Coalgebra: Towards Mathematics of Systems」 梗概 (60分)

15:00-15:20 休憩

15:20-16:50

  星野 直彦 (京都大学) 「A modified GoI interpretation for a linear functional programming language」 (45分)

  石田 和 (京都大学) 「線形論理における非可換モデル」 (45分)

16:50-17:10 休憩

17:10-17:30

  山西 康世 (奈良女子大学) 「MUAでの分類予測学習機能の実装」 (20分)

18:30- 懇親会

11月2日(火)

10:00-11:15

  中澤 巧爾 (京都大学) 「Monadic translation of classical sequent calculus」 (30分)

  鴨 浩靖 (奈良女子大学) 「Malfattiの三角形の大きさを数式処理で計算する」 梗概 (45分)

11:15-11:30 休憩

11:30-12:15

  宮部 賢志 (京都大学) 「Frequency and belief are probability」 梗概 (45分)

12:15-13:30 昼食・休憩

13:30-14:10

  小島 健介 (京都大学) 「Neighborhood Semantics for Intuitionistic Monotone Modal Logic」 (40分)

14:10-14:30 休憩

14:30-16:00

  佐々木 克巳 (南山大学) 「S4を含む正規様相論理における、標準形の論理式とexactモデル」 梗概 (60分)

  佐々木 克巳 (南山大学) 「様相論理S4.1とS4.2」 梗概 (30分)

 

梗概

Theory of Coalgebra: Towards Mathematics of Systems

  蓮尾 一郎 (京都大学 数理解析研究所 ・ JSTさきがけ)

1990年代の Jacobs と Rutten の諸結果に始まり,状態遷移システム(たとえばオートマトン) の圏論的モデルとして成功を収めつつある coalgebra (余代数) の概念について,概説します.最近盛り上がっているいくつかのトピックについて手短に紹介しますが,ポイントは圏論 (「なんでも矢印で書こう!」というフォーマリズムです) の持つ抽象力です.計算機科学における,一見異なるいろいろな現象の共通する本質をとらえて,「同じもの」として記述することができます.

一例として,後半の時間を使って「軌跡意味論と模倣関係の一般理論」に関するわれわれの結果を紹介します.双模倣関係 (bisimilarity) が集合と関数の圏 Sets における coalgebra でとらえられる,というのはよく知られた結果ですが,軌跡意味論 (trace semantics) は「内部の分岐構造を気にしない」という点で双模倣関係よりも粗い同値関係です.圏を Sets から Kleisli category と呼ばれるものに取り替えることで,軌跡意味論がやはり coalgebra を使ってとらえられることを示します.われわれの一般理論について特筆すべきなのは「分岐の種類」 (たとえば非決定性 vs. 確率的分岐) がパラメータになっていて一様に扱えることです.このおかげで,非決定性システムに対する既存の結果を確率的システムに対して「移転」することができます.

ご存知の方にとっては「もう知ってるよ!」という内容だと思いますが,むしろ学生さんをターゲットに平易に話させていただこうと考えています.よろしくお願いいたします.

Malfattiの三角形の大きさを数式処理で計算する

  鴨 浩靖 (奈良女子大学 理学部)

三角形の内部に3個の互いに外接する円があり、それぞれの円が三角形の三辺のうちの二辺と接するとき、その3個の円は Malfatti の円と呼ばれる。Malfatti の円の中心を結んで得られる三角形は、Malfatti の三角形と呼ばれる。Malfatti の三角形と元の三角形について、さまざまな観点から大きさを比較する計算を行った。計算の途中に出現する連立方程式は、手計算で解くには難しいが、数式処理システムを使えば解ける程度の大きさであった。

Frequency and belief are probability

  宮部 賢志 (京都大学 数理解析研究所)

「確率とは何か」という問いには、頻度説や主観説など様々あるが、数学的な定式化としてはKolmogorovによる公理的アプローチが主流となっている。本講演ではランダムネスの理論を用いて、頻度や信念の度合いの数学的定式化が確率の公理を満たすことを説明する。このことから、確率とは「それ以上規則が見つけられない時の頻度」であることを主張する。

S4を含む正規様相論理における、標準形の論理式とexactモデル

  佐々木 克巳 (南山大学 情報理工学部)

様相論理S4における論理式の導出関係は、標準形の論理式およびexactモデルを用いる方法で、その詳細が明らかにされてきている。本報告は、この方法をS4以外の正規様相論理Lに適用するための、Lの条件を示す。

様相論理S4.1とS4.2

  佐々木 克巳 (南山大学 情報理工学部)

2つの様相論理S4.1とS4.2は、どちらも極大元の条件により定められるクリプケモデルで特徴付けられる論理である。本報告では、標準形の論理式をexactモデルを用いて様相論理S4の論理式の導出関係を明らかにする方法が、このタイプのクリプケモデルで特徴付けられる論理に有効であることを述べ、実際にその方法を適用した結果を述べる。


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